平成12年度第1学期試験 (科目  コミュニケーション概論 )  (担当  松尾太加志 )  持込可 60分

T. 次の各文は,授業で説明した事柄の記述である。下線部の記述が正しいものは,「○」を書き,記述が誤っているものは,正しくはどうあるべきかを書きなさい。
  1. ストップディスタンス法は,対人距離を生理的指標で測定するものである。
  2. 社会的認知とは,環境の中にあるさまざまな社会的情報を利用して,人物の推測を行っているが,それは,かなりボトムアップになされている。
  3. 駐車場の管理人らしい制服をしていなくても,援助行動をした人は,その理由を服従に帰属させた人が相対的に多かった。
  4. 四六時中,電話で話をして,まるで同じ部屋で過ごしているかのような感覚になることをダブルリアリティという。
  5. 親和欲求が高い人は,そうでない人に比べ,競争事態では,視線を向けない。
  6. うなずきは,例示子のひとつである。
U. 次の各文にもっとも関連が深いと思われる用語を書きなさい。
  1. 経営情報学科の学生は,他学科の人からは,みんなコンピュータが得意だと思われている。
  2. 表情の基本情動の中で,もっとも弁別しやすい情動。
  3. 落ち着かないと,ボールペンのキャップを入れたり出したりする。
  4. 話をしているときに,わかりやすく説明するために,物の形状などを手で形づくって説明する。
  5. 50m離れた3軒先の家よりも,100m離れた隣りの家の人とが親しくなる。
  6. 対人距離などをグラフに表現するときに,スケールは等間隔にはとらず,このスケールを用いることがある。
V. 下の文章を読んで,その文章に対する説明の(  )の中に当てはまる言葉を解答欄に書きなさい。

【文章】 今日は早起きしないといけないと思っていたのに,遅く起きてしまい,ダッシュで行ったけど,もう,先生が用紙を配られていた。先生から「今日も早いな」と言われ,「あ,どうも」と言った。

【説明】 これを読むと,多くの人は,試験の日に遅刻した学生の話だと理解できる。それは,読み手が,試験とはいったいどのようなものかといった( 1 )を有しており,それをもとに適切な( 2 )が構築できたため理解できたのである。この理解過程は,入力情報をうまく既有知識に( 3 )できたことになる。遅刻したとわかるのは,試験を受けるまでの行動の系列に関する( 4 )を持っているからである。もちろん,この文章の理解の前提になるのは,日本語に関する知識が必要で,意味に関する( 5 )知識と文法に関する( 6 )知識が必要となる。
 遅刻したのに,「早い」と言った先生の言葉は,( 7 )の原則に反するため,そこに( 8 )が存在すると理解できる。「あ,どうも」という言葉は理解しずらい。先生から問題用紙を渡されたことに対する言葉からもしれない。それはその場にいないとわからない( 9 )が欠如しているからである。さらに,先生と学生との関係やその場の文脈などの話し手と言語との関係に関する( 10 )知識も,この文章の理解には必要である。

W. 次の各問に対して,この授業ではどのような説明がなされたか,90字以内で説明しなさい。
  1. なぜ,満員のエレベータに乗ると,上にある階数を示すランプを見るのか。
  2. なぜ,運転中に携帯電話を利用するのが危険なのか。