平成14年度第1学期試験
(科目
コミュニケーション論/コミュニケーション概論
)
(担当
松尾太加志
)
持込可 60分
T.
次の各文にもっとも関連が深いと思われる用語を書きなさい。(40点)
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書かれた文章の意味がわからなくても,人間はとりあえず,仮説的な枠組みを作って理解しようとつとめる。
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朝食で漬物に箸を伸ばしたときに,「あっ」と言った。このとき,醤油がないことを言っていることを回りの人は気づくことができる。
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毎日行っているような行動は,一連の系列としてできあがっており,いちいち意識しなくても,自動的に行動がなされている。
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「わかる人にわかる」というときの前半の「わかる」というのは,これが「わかる」からである。
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メッセージの全体の印象は,言語内容よりも表情やパラ言語に依存している。
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顔の筋肉の動きをいくつかのアクションユニットに分類し,そのユニットの動きの組み合わせによって表情を特定する。
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発話の調整機能を持つもので,うなずきなどがこれに含まれる。
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物理的に離れていて,普段会うことはないが,よく電話をかける相手にこれに相当する。
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サッチャー女史の話し方の特徴で,これによって相手から話を割り込まれることが多かった。
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これ以上近づいてこられるといやだという時点で被験者がストップをかけ,そのときの対人距離を測定する。
U.
下の文章の( )内に適切な語句を入れなさい。下線部については,もっとも関連の深い対人認知の現象を記入しなさい。(32点)
ある人物がどのような人であるのかを正確に判断するためには,本来は,その人物に関するあらゆる情報を集めなければならない。しかし,現実にそのようなことはできないため,限られた情報だけで( 1 )な判断を行うことになる。たとえば,日本人がサッカーの試合を見ていると,イングランドの選手だということだけで,2)どの選手もみんなジェントルマンだと思ってしまう。また,人口の比較的少ない国の選手が万引きなどを起こしてしまうと,3)それは特定の個人だけの行動であるにもかかわらず,国全体の評価を低くしてしまう。イングランドの選手は紳士的だというステレオタイプを持っていると,必ずしも試合中,紳士的なプレーがそれほど多かったわけでもないのに,4)試合後,イングランドの選手の紳士的なプレーばかりが思い起こされてしまう。
また,イングランドの選手といえば,すぐにベッカムの名前を思い浮かべるのは,ベッカムがイングランドの選手の典型,つまり( 5 )であるからである。TVでベッカムの話題が放映された後,ベッカムは素敵な選手だという( 6 )が形成されてしまうと,実際にはTVでは評されなかったようなことでも,7)素敵な人の特徴に関連が深い事柄も評されていたかのように思ってしまう。一度,ベッカムは素敵だということが形成されると,「ベッカム」という名前を聞いただけで,素敵だということが活性化されてしまう。このようなとき,「ベッカム」は( 8 )ということになる。
V.
以下の各設問に,120字以内で解答しなさい。(28点)
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マタラゾらの実験で,「うなずき無し」の条件を設けているが,この条件がなかった場合,結果の解釈にどのような問題が生じるのか説明しなさい。
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パーセンタイルとは,どのような値で,どのような場合にパーセンタイルを示すことに意味があるのか説明しなさい。