医療安全BOOKS 8 看護師・医療従事者のだれもが陥るワナを解く
「 臨床事例で学ぶコミュニケーションエラーの“心理学的”対処法」
日本医療マネジメント学会・坂本すが(監修)・松尾太加志・末永由理(編著) 2019年8月 メディカ出版より出版 2,500円+税
医療現場の方々にコミュニケーションが問題となった事例を挙げていただき、どのように対処すべきかを考えてもらいました。それぞれの事例はマンガも入れてわかりやすく説明されています。対処法を考える上での枠組みを心理学の視点から私が提供しました。
第1章でコミュニケーションエラーをどうとらえるべきかを説明しており、第3章では、コミュニケーションエラーを防ぐ組織づくりを、心理学、看護管理者、医療安全管理者の3つの観点から解説しています。事例を読んでも十分に役に立ちますが、1章、3章を読むとコミュニケーションの課題とどう向き合うべきかの理解がさらに深まります。
詳細目次
第1章 導入 コミュニケーションエラーはなぜ起こる?コミュニケーションエラーのワナはどこにある?
第2章 エラー分類でみる事例と解決策
第2章の読み方・使い方
<同職種間エラー:看護師間のエラー>
(1)イントネーションだけで判断してしまい、指示を誤解
(2)情報共有不十分で内視鏡検査の患者さんを間違えた
(3)抜針したが、血管外漏出であることが伝達されず壊死
(4)左上肢処置禁の伝達がされず、左から造影剤注入ルート確保
(5)食止めオーダーを入れるよう指示したが、なされていなかった
(6)変更があったのに自分たちの記憶に頼ってしまった
(7)昼休憩に入り、昼食後の内服未実施の伝達漏れで内服忘れ
(8)申し送りがなかったので鼻出血ガーゼを勝手に抜去
(9)急なERCP検査で、動揺歯情報の引継ぎ漏れ
(10)採血時間の手順の確認をしたが、先輩看護師からは明確な回答がなかった
<同職種間エラー:医師間のエラー>
(11)正しく言ったつもりが、薬名の言い間違い
(12)A薬、B薬いずれかと伝えたつもりが、A薬+B薬で処方
<異職種間エラー:医師−看護師間のエラー>
(13)口頭指示で4mgを1mgと聞き間違い
(14)休薬の指示があったが、持参薬の休薬だと誤解
(15)解熱剤の処方の依頼を断られた
(16)処方箋を渡され、処方を依頼されたが、別の人の処方を出してしまった
(17)準備手順を聞きづらくためらってしまい、間違った手順に
(18)内服は難しいと提案したが医師が認めてくれない
(19)術野の針を確認してほしいと言ったけど、してくれない医師
<異職種間エラー:医師−薬剤師間のエラー>
(20)5倍散の意味を研修医が誤解し、過量投与
<異職種間エラー:看護師−薬剤師間のエラー>
(21)薬剤情報提供書だけでは服薬の変更が患者に伝わらなかった
(22)「わかりました」と答えたが、お互い相手が与薬してくれると思った
<異職種間エラー:看護師−クラーク間のエラー>
(23)検査予定の2人の患者の名前を思い込みで聞き間違い
<異職種間エラー:複数職種間のエラー>
(24)退院延期が施設や家族に知らされてなかった
(25)緊急時に電話で薬の依頼をしたが、別の薬を受け取り、処置
<院内外および訪問看護師間のエラー>
(26)指定された時間に連絡したが医師はもう帰っていた
(27)「内服管理」の捉え方が看護師間で違った
(28)カテーテル交換の経験ありと答えたが、当該の患者には初めてだった
(29)訪問先のシーツの場所を引き継いでいなかった
第3章 コミュニケーションエラーを防ぐ組織づくり
(1)心理学の観点から
(2)看護管理者の観点から
(3)医療安全管理者の観点から