卒論Q&A 2016/1/9 更新

卒業論文に関するQ&Aです

卒論への取り組み方
    1. 心理学系の卒論は,他学部,他学科に比べて大変だと聞きましたが,本当でしょうか?
    1. 本当です。心理学は,実験・実習に基づいて研究を行なう実証学問です。そのため卒論でも,実験や調査をおこなう必要があります。実験・調査の準備,実施,結果の分析には多くの時間を費やさざるをえません。さらに,実験参加者や調査対象者を必要としますので,自分の好きなときに出来るわけではありません。他学部,他学科では卒論が一般のレポート程度のものがあったりしますが,そんなつもりでいたら,後で泣かないといけません。大変なところに来たのだとあきらめましょう。文系ではなく理系の卒論だと考えたほうがいいでしょう。
    1. そんなに大変な卒論は,私にもできるのでしょうか?
    1. 大丈夫です。実験や調査で何をするかを決めれば,後は体を動かすだけです。論文では実験や調査で実際に行ったことを書けば,自ずとできあがってきます。机上の作業の多い他学部・他学科の卒論に比べると,実験や調査を行う卒論のほうがやりやすいでしょう。
    1. 卒論はいつから始めればいいのですか?
    1. 3年生の1月頃から始めれば大丈夫です。
    1. 春休みや夏休みはどうすればいいのでしょうか?
    1. 春休みや夏休みは指導教員も授業がなくなり時間的余裕ができますから,この間に十分な指導を受けましょう。過去には,この時期に,英語論文の講読を毎週やったりしていたケースがありました。3年の春休みと4年の夏休みにどの程度成果があがるかが卒論の勝負です。
    1. 4年生になると授業がほとんどなくなり,登校日も少なくなるので実家から通おうと思っているのですが...
    1. 卒論は大学に出てこないとできません。教員の指導もそうですが,文献調べ,実験・調査の準備,実施,分析は大学でないとできません。4年生になって大学に出てくるのはゼミだけだと思ったら大きな間違いです。就職活動のため大学のキャリアセンターに出向いたりする機会も増えると思います。大学に出てきたときに集中的にやれる自信のある人はいいのですが,あまりおすすめはできません。
    1. 卒論のためにどの程度の時間を割いたらいいのでしょうか?
    1. 4年生になると時間に余裕ができるため,バイトをはじめようと思うのですが...
    1. 4年生になると残りの単位は,演習と卒論だけになる人が多いでしょう。このようになっているのは,4年生で卒論に専念できるようにということです。したがって,ほぼ毎日卒論に取り組むべきでしょう。
       卒論を最優先で考えてください。バイトのために教員との卒論の打ち合わせを平気でキャンセルする学生がいますが,このような場合,卒論が不合格となってもしかたないでしょう。
    1. 4年生になって就職活動や就職試験で忙しくなると,卒論は一時棚上げせざるをえないと思うのですが...
    1. 就職は卒業できることが前提ですから,うまく両立しなければいけません。就職活動に忙しいときでも,最低週に1日は卒論のための勉強に時間をさきましょう。途中ブランクができてしまうと復帰するのに時間がかかって苦労します。就職面接では必ず卒論のことが尋ねられますから,卒論を疎かにしていると,うまく返答できなくて,就職の面接官から学業に対する取り組みが悪いという印象を持たれてしまいます。
    1. 卒論は一般の授業のレポートとはどう違うのですか?
    1. 一般のレポートは試験などと同じように成績評価のひとつとして扱われます。したがって,試験の答案を書くときに教員がかかわることがないのと同様に,レポートの作成に関しても教員は特別にタッチしません(もちろん,試験のための勉強や,レポート作成のための勉強にはアドバイスします)。そして,そのレポートや試験によって単位の認定が認められます。
       しかし,卒論は,成績評価のために課されるものではなく,教員の指導を受け,卒論を完成するという過程に対して単位が認定されます。実験・実習のときに教員の指導のもとに実験を行いレポートを作成したのと同じように,卒論でも教員の指導を受けないといけません。もちろん,結果として卒論が完成していないといけませんが,逆に卒論が提出されても,十分に指導を受けていない卒論は不合格です。
    1. それでは,先生がすべて指導をしてくれるのですか?
    1. 「はい」と言いたいところですが,主体はあくまでも学生です。教員は指導はしますが,すべて手取り足取りではなく,学生自らが考えることが大切です。それに学生数が多いと十分に対応できません。自分で積極的に取り組んでください。「どうすればいいのかわからないのですが」ではなく,「こうしたいのですが,どうでしょうか」ということから指導が始まります。
    1. 卒論にとりかかる上で,参考になる本がありますか?
    1. 現在,基本的な文章の書き方から心理学の卒論の書き方についての本まで,いろいろな本が出版されています。図書館に入っているものもありますので,自分でわかりやすいと思う本を探してください。購入しても損はない本です。
      利島保・生和秀敏(編) (1994). 心理学のための実験マニュアル 北大路書房 \3,873
      三井宏隆・伊東秀章・中島崇幸 (1998). 心理学卒論マニュアル 垣内出版 \1,680
      木下是雄 (1981). 理科系の作文技術 中公新書 \735
      フィンドレイ (1996). 心理学 実験・研究レポートの書き方−学生のための初歩から卒論まで− 北大路書房 \1,365
      杉本敏夫 (2005). 心理学のためのレポート・卒業論文の書き方 サイエンス社 ¥1,995
      都筑学 (2006). 心理学論文の書き方―おいしい論文のレシピ  有斐閣 ¥1,890
      松井豊 (2010). 改訂新版 心理学論文の書き方 河出書房新社 ¥1,785
      山田剛史・林創 (2011). 大学生のためのリサーチリテラシー入門: 研究のための8つの力  ミネルヴァ書房 2,520円
    1. 卒論にとりかかる場合,コンピュータでインターネットが利用できる環境が必要だと言われましたが・・・
    1. はい。文献をリサーチしたり教員に原稿を送ったりする場合に必ず必要です。とくに卒論原稿の添削にはメールで送って事前に教員に読んでおいてもらい,面談で添削指導を受けると効率的です。仕上げの段階になると,細かい修正だけになり,メールだけの指導も可能です。
      就活でも必要ですので,スマホではなく,コンピュータからメール等が送れるようにしておきましょう。
    1. 研究者になるわけではないのに,なぜ卒論なんか書かないといけないのでしょう?
    1. 論文を書くということは,研究者だからするのではありません。自分で計画立案し,それをもとに実験・調査を行い,データ処理をし,自分の考えをまとめ,それを文章化するという一連のプロセスを行うことが大事なことです。そのプロセスの中でいろいろと学ぶことがあるのです。何かを作り上げるという課題を遂行することに意味があるのです。社会人基礎力をつけるためには,とてもいい勉強になります。それは場合によっては卒論という課題でなくてもいいのかもしれません。心理学の卒論でなくてもいいでしょう。しかし,大学は学問をするところでし,心理学のゼミの学生であれば,それにもっとも相応しい課題として心理学の卒論があるわけです。
卒論のテーマ(題目)
    1. テーマはいつまでに決めればいいのですか?
    1. 卒論の題目提出期限は6月15日ですが,それでは遅すぎます。3年生の1月までには決定していないと間に合いません。
    1. 卒論のテーマはどうやって決めるといいのでしょうか?
    1. 次のような決め方がありますが,それぞれ一長一短があります。
    1. 自分で思いついたものを行う。
      自分で興味をもって行える。
      もう,すでにだれかがやっているかもしれない。
      自分が思っているほど簡単にできない。どちらかというとできない場合が多い。
      文献を探すのに苦労する。
      教員の指導が十分に得られない可能性がある。
    2. ある文献を元に行う。
      書籍,学会誌,学会発表論文集などで自分でもやれそうなものを探す。
      本学で行えないこともある。
      どう,オリジナリティを出すかが問題。
      文献はある程度探せる。
    3. 教員にテーマを与えてもらう。
      一番確実な方法。
      教員の指示通りにやれば確実にできる。
      要求水準が高くなる可能性がある。

      いずれにしても,何の材料もなく考えても何も出てきません。文献などにあたってみるのがいいことです。指導教員の研究室を訪ねて学会誌や論文集を見せてもらいましょう。
    1. 実験より調査のほうが簡単な気がするのですが…
    1. 調査は比較的簡単に実施することができますが,よほどうまくやらないと,満足のいく結果が出ません。そのため,データは出たもののそれをどう分析し解釈していいのかが難しくなります。実験のほうは準備・実施に時間がかかりますが,実験が終わってしまえば,分析・解釈は比較的簡単です。
       毎年,調査をやった学生は早くデータを出すのですが,分析・解釈に手間取って,データを取るまでの順調さがウソのように文章を書く段階になって焦ってしまいます。一方,実験をやった学生は,実験実施までに時間がかかってしまいますが,後の分析・解釈が容易ですので,最終的には,調査をやった学生よりも卒論を書く段階では,順調に進むというケースが多いようです。
    1. 題目提出は,どんなふうにするのですか?
    1. 学務第一課から用紙をもらい,指導教員の印鑑をもらって学務第一課に提出します。卒論のテーマ内容にあった題目を指導教員と相談して考えてください。締切は6月15日です。
    1. 題目提出をし忘れると,どんなふうになるのですか?
    1. 卒論は提出できません。したがって,その年度は卒業できないことになります。
    1. 卒論題目は題目提出後に変更できるのですか?
    1. 原則的にはできません。十分に内容が煮詰まっていない場合は,大きなタイトルとし,後で副題をつけるようにしましょう。
文献リサーチ
    1. 卒論のテーマを探すのにどのような文献をみるといいのですか?
    1. 興味をもった本や論文から探して下さい。何を見ていいのかわからないときは,学会の大会論文集(日本心理学会大会論文集,教育心理学会大会論文集,社会心理学会大会論文集など)にいろいろな研究報告が載っていますから,これを見るといいでしょう。図書館に入っているものもありますが,各教員の研究室にはもっといろいろな学会の論文集があります。教員の研究室を積極的に訪ねてください。ただ頭の中で考えただけではいけません。
    1. インターネットでデータベースで検索はできないのですか?
    1. 日本語の文献では、国立情報学研究所 論文情報ナビゲータCiNii(サイニィ; http://ci.nii.ac.jp/)が便利だと思います。
      また、独立行政法人科学技術振興機構 (JST) が構築した「科学技術情報発信・流通総合システム」J-STAGE(http://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja)では様々な学会の雑誌が無料で検索・閲覧できます。
      英語の文献では、米国国立生物工学情報センター(NCBI)が一般公開している医学関係文献データベースPubMed(パブメド;http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez)を使ってみましょう。医学が中心ですが、心理学のものもかなり網羅されています。
      心理学関係に関しては,私のリンク集に心理学関係のジャーナルのデータベースをまとめたものがありますので,そこも見てください。
      これら以外にも様々なデータベースがあります。研究者自身のサイトで論文を公開していることもありますので,いろいろ探してみましょう。
    1. 英語の文献は読まないといけないのですか?
    1. 自分がやりたいと思っている実験や調査と類似の研究をしている英語の論文があれば読まないといけません。重要度の高い英語の論文をひとつ読むことができればいいと思います。
    1. 図書館にない文献はどうしたらいいのでしょうか?
    1. 本学の図書館にない文献は,図書館のリファレンスカウンタで他大学図書館へ文献複写の依頼(ILL)ができます。届くまでに日数がかかりますから,そのつもりで。コピー代(1枚15〜30円程度)の実費が必要です。ただし,卒論で必要な文献の取り寄せは,指導教員のサインがあれば,支払わなくてもかまいません。手続きは図書館のウェブサイトで確認してください。
演習
    1. 4年生の演習はどのような形式になるのですか?
    1. 卒論指導になります。授業として組み込まれている時間では,4年生が順番に自分の卒論の構想を発表したり,卒論のために読んだ論文について発表をすることになります。さらに,個別に授業時間以外に指導をします。テーマを決めるところから,文献のリサーチの指導,実験・調査の指導,データ分析の指導,最後に論文の文章のチェックを受けるまで,すべてが演習だと考えてください。
    1. 4年生の演習はどうやって単位が認定されるのですか
    1. 4年生の演習は卒論指導ですから,卒論の指導をどの程度受けたかによって評価されます。指導も受けずに勝手に書いてしまうと,演習の単位は認められません。もちろん,その場合は卒論も不合格になるでしょう。卒論だけ不合格ならば,半年後に提出して9月卒業が可能ですが,演習の単位を落とすともう1年やらなければなりません。
実験・調査
    1. 自分で勝手に実験や調査をしていいのでしょうか?
    1. いいえ。実験や調査の内容をどうするかは必ず教員と相談してください。
    1. 予備調査や予備実験とはどんなことをするのですか?
    1. 本調査や本実験をするにあたり,質問や実験の内容をあらかじめ回答してみたり,実施してみたりすることによって,本番でうまくやれるかどうかを確かめることです。その場合,まず実験者自身が調査対象者や実験参加者の立場になったつもりでやってみます。そして,その後に第3者にやってもらいます。その際,十分に内省を聞くことが大切です。回答や反応に無理がないか,時間がかかりすぎないかなどを検討し,質問の内容や実験の刺激,反応の取り方などを再検討します。
    1. 予備調査や予備実験は何回,何人くらいですればいいのでしょうか?
    1. 回数は決まっていません。1回で終わることも,1人で終わることもあります。これで本実験や本調査が大丈夫というところまで,何回も何人でも繰り返さないといけないこともあります。
    1. 実験参加者や調査対象者は何人くらいとればいいのでしょうか?
    1. 実験や調査内容によって異なってきます。質問紙の回答だけのデータの場合1条件に30人以上は必要でしょうが,反応時間や生理的データの場合,1条件で5人程度でかまわないということもあります。
    1. 実験参加者には謝礼を払ったほうがいいのでしょうか?
    1. しないで下さい。誰でも謝礼が払えるわけではありませんから,実験によって謝礼が出たり出なかったりすると,謝礼のない実験への実験参加者の協力が得られなくなります。それに,1〜3年生にとっては実験参加者になることも勉強になりますから謝礼は不要です。
       謝礼を払うことよりも,実験参加者に失礼のないようにすることが大事です。実験参加者を待たせたり,実験に時間がかかりすぎたりしないよう,事前に十分に準備をしておいてください。実験参加者には敬意をもって接するよう心がけてください。
    1. 実験や調査で条件間に差が出なかった場合,どうすればいいのでしょうか?
    1. 差は出なくてもかまいません。出なかったら,なぜ出なかったのかを「考察」のところで十分に考察して下さい。
    1. 実験や調査はいつごろまでに終われせればいいのでしょうか?
    1. 最低ラインとしては,予備実験や予備調査を5月までに終わらせ,本調査や本実験は7月の中旬までにしないといけません。
    1. 先輩に聞くと,10月になってから実験や調査をしたと聞きましたが,それでも間に合うのではないでしょうか?
    1. 複数回の実験を行ったりする場合,そのようなこともありますが,10月入ってはじめて実験や調査を行うのでは間に合いません。表面上は間に合っていますが,多くの人に迷惑をかけています。無理をいって授業をつぶして調査を実施したり,授業・研究・入試などに忙しい教員に実験準備やデータ分析の指導を受けています。教員も学生も引き受けてはくれますが,迷惑がかかるということを考えておいてください。
施設・実験器具
    1. 卒論に必要な実験器具やテスト用紙はどうすればいいのでしょうか?
    1. 予算の関係ですぐには準備できませんし,何でも準備できるわけではありません。必要なものがある場合には,3年の2〜3月頃に教員と十分相談しておきましょう。そうでない場合は,あるもので間に合わせるか,自腹を切らないといけません。
    1. 実験室やコンピュータ室は勝手に利用していいのでしょうか?
    1. 実験室は教員が管理していますので,事前に担当の教員に申し出て下さい。担当の教員に鍵を借りて利用することになります。担当の教員がいない場合,実験準備室の補助事務職員や他の教員でもかまいません。
       卒論の時期は実験室が混み合いますので,確実に予約をして利用するようにしてください。実験参加者に頼んでいたのに,先約があって実験ができないということになると,せっかく来てもらった実験参加者に対して失礼になります。
    1. 実験室やコンピュータ室は休日でも利用できるのでしょうか?
    1. 学生だけでの利用は認められません。どうしても利用したい場合は,教員に大学に出てきてもらって,鍵を開けてもらうしかありません。年末年始の卒論締め切り間際には,大学は締まってしまいますから,年内に卒論を終えるようにしておいてください。
卒論中間発表会
    1. 中間発表会はどんな形式でなされるのですか?
    1. 公開の発表会の形式をとります。定められた持ち時間の中で発表し,質疑応答がなされます。他の学生や教員も聞きにきます。
    1. 中間発表会はいつ行なうのですか?
    1. 例年,11月中旬に行っています。
    1. 中間発表会には何か準備することがありますか?
    1. パワーポイントを使ったプレゼンテーションを行いますので,その準備が必要です。しっかり内容を吟味して入念にリハーサルを行ってください。配布する資料はパワーポイントの資料を使うことにしています。もちろん,この時期までに実験や調査が終えて,後は論文にまとめるだけになっていないといけません。
執筆(全体)
    1. 卒論は何枚書けばいいのでしょうか?
    1. 手書きで30枚以上,ワープロ原稿(32字×25行)で15枚以上です。それとは別に要旨(手書き2枚,ワープロ1枚)が必要です。卒論の規程が履修ガイドに書いてありますから,それを参考にして下さい。
    1. 序,方法,結果,考察などそれぞれどの程度の分量を書けばいいのでしょうか?
    1. ワープロ原稿15枚書くとした場合,序4枚,方法2枚,結果4枚,考察4枚,文献・謝辞1枚を目安にすればいいでしょう。これはあくまで最低のラインです。
    1. 質問紙などを資料として卒論に綴じたいのですが,それも枚数に入るのですか?
    1. 添付資料は枚数に数えません。付録になります。序,方法,結果,考察,文献・謝辞までが枚数になります。本文中の図表も枚数に入ります。
    1. 表紙や用紙はどうすればいいのですか?
    1. 生協に専用の用紙(手書き用とワープロ用は別),表紙,綴じリングが販売されていますので,それを購入して下さい。
    1. 卒論を書くときに,パソコンを使わないといけないのですか?
    1. ぜひ,使って下さい。使わないといけないわけではありませんが,文章の修正を何度もする必要がありますし,手書きの清書の手間,仕上がりの美しさを考えると,ワープロやパソコンを使うことが絶対に有利です。なお,パソコンを使う場合,必ず原稿を収めたメモリはバックアップをとっておきましょう。
    1. ワープロやパソコンを使ったとき,図表もワープロやパソコンを使わないといけないのですか?
    1. 使わなくてもかまいません。手書きでも結構です。
    1. 図表は切り貼りしてもいいのですか?
    1. かまいません。美的センスだけの問題です。
    1. 文章は先生にみてもらわないといけないのでしょうか?
    1. はい,そうして下さい。見てもらわずに提出してしまうと不合格になってしまいます。

執筆(序,問題)

    1. 「序」や「問題」では何を書けばいいのでしょうか?
    1. 「序」や「問題」では,次のような流れで書くとよいでしょう。
    1. 研究のきっかけ
       日常的に感じた疑問,あるいは,あるテーマについての解決されていない事柄,対立点などです。
    2. その研究分野の他の研究のレビュー
       自分が感じた疑問に対して,過去にどのような研究があり,その中でどのような研究がなされているのか。また,そこでまだ解決されていない問題はあるのか。
    3. 自分がやりたい研究の位置付け
       先行研究と自分がやりたい研究のどこが違うのか。どのように意義があるのかを書きます。どういう問題意識をもってこの研究をするのかを書きます。そして,それによって何がわかるのか。この研究の目的を書きます。
    4. 自分は何をするのか。
       自分が行なう実験や調査の概要を書きます。そして,どのようなことが予測されるのか,つまり仮説を書きます。

執筆(方法)

    1. 実験の装置図は描かないといけないのでしょうか?
    1. 描かないといけないことはありませんが,描いたほうがいいでしょう。一般の論文では特別のことがない限り描いてはいませんが,卒論では描いてください。ただし,装置図を描くとともに,そこで使った機器類がどう使われてどう接続されているかなどを本文で必ず説明してください。
    1. 手続きのところは教示をそのまま書いていいのでしょうか?
    1. いいえ。教示は,あくまでも実験中の実験参加者にどのような課題をしてもらうかを伝えるものです。論文中の手続きは,どんな実験をしたかを読み手に伝えるものです。伝える相手が異なりますから,まったく同じではいけません。ただし,教示そのものによって実験条件を操作する場合などがありますから,その場合は,教示をそのまま書く必要もありますが,それだけで手続きの説明は終わりではありません。
    1. 質問紙の内容をそのまま書いていいのでしょうか?
    1. いいえ。どのような主旨の質問をしたのかを書くだけにし,質問紙そのものは付録として添付してください。本文には,内容の主旨と反応尺度(例:7件法など)などを書いてください。SD法などの形容詞対などについては,そのまま書いてください。

執筆(結果)

    1. 「結果」と「考察」はどうちがうのですか?
    1. 「結果」は実験や調査から得られたデータを示すことです。データは生のまま示すのではなく,なんらかの統計的処理を行って示します。もちろん,どういう処理を行ったかも書きます。「考察」は,そのデータの結果をもとに,なぜそのような結果になったかを論じるところです。「結果」は事実を書くところです。「考察」は,自分の考えを書くところです。
    1. 統計検定は必ずしないといけないのですか?
    1. しないといけないわけではありませんが,するべきでしょう。データの内容によっては統計的分析ができにくものもありますが,原則的にはしてください。
    1. 図表を描くと,書くことがないのですが...
    1. データは生のまま示すのではなく,平均をしたりしているはずですから,そのような処理はどのように行なったかを書く必要があります。そして,その示されたデータについて,条件の間でどちらの値が大きいといった記述が必要になります。その「大きい」といった判断の根拠として統計検定が必要になります。
    1. 分散分析表や統計分析表は本文に載せていいのですか?
    1. いいえ。昔の論文では載せているものもありましたが,最近は載せません(昔は分散分析の計算をすること自体が大変だったのですが,今はコンピュータで簡単にできますから,それをわざわざ載せません)。本文中に統計量(たとえばF値),自由度,有意水準を書くだけです。
       例:...の主効果に有意な差が認められた(F=6.57, df=3/52, p>.05)。

執筆(考察)

    1. 「考察」では何を書けばいいのでしょうか?
    1. 「序」の目的で書いたことについて考察します。予測した通り(仮説通り)になったのはなぜか,あるいは予想通りにならなかったのはなぜかを考察します。その際,もちろん,「結果」のデータから言えることだけを考察します。飛躍した論理はいけません。さらに,同時に類似の先行研究との比較を行います。最後に今後の課題を書きます。「考察」が論文でもっとも重要な部分です。ページを多くさいて書くべきところです。
    1. 「考察」はどのような流れで書けばいいのでしょうか?
    1. 自分が主張したいことを書くという姿勢が大切です。「結果」でのデータについて長々と解釈してはいけません。自分が主張したいことに対して,どの「結果」のデータがその裏付けになるのかという形で書いていって下さい。
       たとえば,「結果」のところで,結果Aと結果Bという2つの分析を行なったとします。そのときに次のような書き方をしてはいけません。
       悪い例
       ・なぜ,結果Aになったのかの解釈
       ・なぜ,結果Bになったのかの解釈
        …
       良い例
       ・主張したいこと1
         結果A,結果Bのデータから裏付ける。
         先行研究の結果との比較。
         主張通りにならなかった結果があれば,それはどのような理由が考えられるか。
       ・主張したいこと2
         結果A,結果Bのデータから裏付ける。
         先行研究の結果との比較。
         主張通りにならなかった結果があれば,それはどのような理由が考えられるか。
        …
       ・まとめ
         この研究でどのようなことが明らかになったか。
       ・今回の研究の問題点と今後の発展

執筆(引用文献・参考文献)

    1. 参考文献と引用文献はどう違うのでしょうか?
    1. 一般の論文の場合,本文で引用した文献だけを「文献」,「参考文献」としてあげることが多いようですが,卒論の場合,次のように分けて書いてください。
      参考文献
       本文では引用してはいないけれど,卒論を書く際に参考にした文献。
       卒論のテーマに関して書いてあった単行本などをあげてください。
      引用文献
       本文で引用した文献。
       学術雑誌の論文等がこちらに含まれます。
    1. 引用文献・参考文献はどのように書けばいいのでしょうか?  並べる順序や形式に決りがあるのでしょうか?
    1. 順番はアルファベット順です。日本人の場合,ローマ字表記で考えて順序を決めてください。形式は,「大学生のためのリテラシー入門」(ミネルヴァ書房 Pp.154-159)などを参考にしてください。
    1. 引用文献はなくてもいいのですか?
    1. だめです。自分のテーマに関する文献を調べて,そのテーマに関わる分野のこれまでの研究の中で自分の研究がどう位置付けられるかを考えることも卒論の一部ですから,文献がない場合は論文と認められません。
       よほど特殊な分野でないかぎり,参考文献はなくてもかまいませんが,引用文献がない場合は,論文としてみとめられません。
    1. ある本Aの中に書いてあった文献Bを本文中に引用したいのですが,実際にはその元の文献Bは読んでいません。引用文献としてあげていいのでしょうか?
    1. いわゆる「孫引き」にあたりますが,原則としては避けてください。ただし,その文献Bの重要度が高いにもかかわらず,手に入らず読めなかった場合,次のようにしてください。まず,本文中で,その「ある本A」の中に書いてあった旨を記してください。そして,その「ある本A」を参考文献としてあげ,文献Bを引用文献としてあげてもかまわないでしょう。

執筆(謝辞)

    1. 謝辞は書かないといけないのですか?
    1. 書かなければいけないものではありませんが,指導教員,実験参加者,調査対象者など,卒論でお世話になった人がいるはずですから,書いてください。その他実験や調査の実施,データ分析でお世話になった人に書いて下さい。

執筆(付録)

    1. 付録には何を載せればいいのですか?
    1. 質問紙や本文に掲載できなかったデータなのです。
    1. 付録はページに入るのでしょうか?
    1. 卒論で定められた正規の枚数の中には含まれません。
    1. 付録はどんな用紙に印刷すればいいのですか?
    1. 卒論の本文と同じ用紙に印刷すればいいでしょう。ただし,質問紙などの場合,質問紙に穴をあけて綴じるようにしてもかいません。

執筆(要旨)

    1. 要旨とは何ですか? どのように書けばいいのですか?
    1. 卒論全体の要約です。したがって,卒論の序,方法,結果,考察がすべて含まれていなければなりません。提出分量が決まっています(手書き2枚,ワープロ1枚以内)から,うまくコンパクトにまとめないといけません。別綴じになりますから,卒論題目,学籍番号,氏名も書いてください。
    1. 要旨はどんな用紙に印刷すればいいのですか?
    1. 本文と同じ,卒論用の用紙に印刷してください。
卒論提出
    1. 卒論はどこに出すのですか?
    1. 通常は学務第一課の窓口ですが,提出締切当日は特設受付が別のところに設けられますから注意して下さい。
    1. 卒論の提出には何を持っていけばいいのでしょうか?
    1. 卒論本体と別綴じに要旨が必要です。過去に要旨を忘れて来て,慌てて作って滑り込みセーフというケースがありましたので,注意してください。
    1. 卒論が提出期限に間に合わなかったらどうなるのですか?
    1. 不合格です。1月の第3月曜日の正午(都合により変更されることがあります。必ず掲示で確認してください。)を1分でも遅れると受け付けられません。過去に間に合わなくて卒業できなかったケースがありますから,注意しましょう。締切当日は何が起こるかわかりませんので,確実に前の週の金曜日までに提出しましょう。
    1. ワープロに打込んでいたのですが,提出締切当日メモリが壊れてしまって,プリントアウトできなくなってしまいました。そのような場合でも締切は延ばしてもらえないのでしょうか?
    1. 卒論提出締切当日,風邪を引いてしまい大学に行けなくなってしまいました。次の日に出してもいいのでしょうか?
    1. だめです。どんなことがあってもだめです。試験とちがって,卒論の提出は締切当日しかできないわけではありませんので,締切日にどのような事情があっても提出の延期は認められません。パソコンを使う場合,マシントラブルなど思わぬ出来事がいつ起こるかわかりません。とくに原稿を収めたメモリは必ずバックアップをとっておきましょう。いろいろな不測の事態も考えて余裕をもって提出しましょう。提出締切当日は予備日と考え,前の週の金曜日までに提出するようにしてください。
    1. 卒論提出後,中身の差し替えが可能だと聞きましたが,本当でしょうか?
    1. できません。卒論は提出期限までに完全原稿で出してください。差し替えなければならないような内容を提出した場合,卒論は不合格になってしまうでしょう。
口頭試問(卒論発表会)
    1. 口頭試問はどんな形式でなされるのですか?
    1. 公開の発表会の形式をとります。定められた持ち時間の中で発表し,質疑応答がなされます。そこで最終的に卒論の評価がなされます。他の学生や教員も聞きにきます。
    1. 口頭試問はいつ行なうのですか?
    1. 卒論提出後のおよそ1〜3週間以内に予定されます。卒論提出をしたからといって,勝手に卒業旅行などの予定をいれてないようにしましょう。
    1. 口頭試問には何か準備することがありますか?
    1. 口頭試問のときには,卒論要綱集を配りますから,その原稿を口頭試問の開催される数日前までに指導教員に提出しなければなりません。もちろん,その内容も指導教員のチェックを受けてください。
    1. 口頭試問の当日,風邪を引いてしまい大学に行けなくなってしまいました。別の日にしてもらえるのでしょうか?
    1. 行けなくなった場合は,連絡をして下さい。正当な理由がある場合は考慮してもらえると思います。担当教員と相談をして下さい。
卒論要綱集
    1. 卒論要綱集とは何ですか?
    1. 卒論の内容を2ページにまとめたもので,冊子として作られます。口頭試問のときのレジメとしても利用されますし,広くいろいろな人(下級生,教員,他大学など)に配布されます。卒論本体は多くの人が見るわけではないですが,この要綱集は多くの人が見ることになりますから,原稿は疎かにしないようにしましょう。
    1. 卒論要綱集はどのような書式ですか?
    1. Wordの様式を作っていますので,これを利用してください。卒論要綱集原稿Word様式
評価
    1. 卒論は提出すれば,それで合格なのでしょうか?
    1. いいえ。提出後,口頭試問を行ない,S, A,B,C,Dのいずれかの評価がなされます。Dであれば不合格ですから,卒業できません。
    1. 提出しても不合格になる恐れがあるのでは,心配です。どうしたらいいのでしょうか?
    1. 卒論提出前に十分指導教員の指導を受けて,指導教員のOKが出てから提出すれば問題ありません。
    1. 仮説通りに結果がならなければ,評価は低いのですか?
    1. 方法論がきちんとしていれば,どのような実験・調査結果になったかは問われません。
    1. 評価はどのようになされるのですか?
    1. 卒論は努力賞で評価されます。心理学の論文として立派であるかどうかを評価するには4年間では短すぎます。どの程度,努力をしたかが問われます。
卒論が終わったら
    1. 卒論で使ったデータメモリ,ビデオ,調査用紙は処分してもいいのですか?
    1. いけません。後輩のために残しておいて下さい。
    1. 卒論で使った器具や書籍は,卒業式のときに返してもいいのでしょうか?
    1. もっと早く返却して下さい。後輩の3年生が2月頃から使い始めます。
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