推薦図書
私が読んだ本の中から推薦できる図書を紹介しています
人工知能・ロボット
これまで経験や勘に頼っていた農業が、データに基づいて営農を行うという精密農業やロボット・AIを活用するスマート農業を推進していくことは、農業就業者の数が減り、高齢化する時代にあって、必要不可欠であり、喫緊の課題でしょう。逆に、これまでの農業が労働集約型の産業であっただけに、それを大きく転換することができるわけで、ある意味伸びしろのある分野ではないかと思います。むしろ、これまでデータに基づいた営農がなされていなかったことのほうが不思議なのかもしれません。
農業について知識のない私でもわかりやすく読める本で、農業もこのように変わっていくのかと、感心するとともに非常に勉強になりました。
従来の人間と機械との議論は,人間と機械の話だけで終わっていたのですが,動物という視点から見るのがとてもユニークです。今日,人間型ロボットやペット型ロボットが,日本でもてはやされる理由のひとつとして,筆者は,人間と他の動物の間に明確な境界があるとするキリスト教的価値観と,明確な線引きをしない仏教などのアジア的価値観の違いに焦点をあてています。古来,動植物を,生あるものとして擬人化するというアニミズムの思想がある人々にとっては,ロボットという存在は受け入れやすいのでしょう。筆者はそれを「テクノ・アニミズム」と呼んでいます。人類学的視点の面白さが満喫できる本です。
人間と同じような知能を持ったロボットを作ることができるのかという人工知能の問題は,哲学と切り離すことができません。でも,哲学の本というと,とかく難しいのですが,この本は,哲学だと気負って読むこと必要はありません。しかも,人工知能の問題で必ず出てくるチューリングテスト,中国語の部屋,フレーム問題,コネクショニズム,クオリアといったトピックに対して,わかりやすく例をあげながら説明されています。
ロボット研究には夢があります。でも,その道のりがあまりにも険しく,ロボットという頂上に辿り着く前に夢砕かれてしまうことが多いものです。しかし,一方で大きな副産物があります。ロボットは人工人間を作ることであるのですが,「人間とは何か」という本質的な問題が見えてくるのです。それは,普通に(?)心理学や哲学を研究していてもわからない問題なのです。人工的に作ってみようとして,はじめてその本質がわかってくるのです。
著者である松原さんは,コンピュータ将棋の研究者です。コンピュータに将棋名人と同じような強さを持たせることは,極めて難しい課題なのです。その研究を通して,人工知能,ロボット,人間の本質が見えてくるのです。以前,ある学会で,松原さんが,次のようなことを語っていました。コンピュータは負けるとわかっていても,ただ淡々と負ける手を手順通りに打っていく。人間だったら,奇襲戦法に出たりするのに。人間と機械の本質的な違いを垣間見たような気がしました。このような著者がロボットについて,一般向けにわかりやすく平易に語っています。